CD 6曲目「天球儀」はリトルウィッチ様のPCゲーム「シュガーコートフリークス」の挿入歌として制作されました。
体験版でも使用されましたが、まさにあのシーンのために狙い撃ちで作った曲になります。夜に二人で屋根に上って星空を見ながら語り合い、そこでヒロインの一人である珠姫は主人公にちょっとだけ心を開きます。
この曲も歌詞優先で作った歌になります。歌詞の内容は女性視点で描かれたまさにリア充爆発しろ的なもので、男性側が積極的ですごいですね。
その隣は僕の星で まわりには沢山の人達
それら全て繋いだなら「友達」という星座になる
そしてわたしとあなたの二人をつなげば
「恋人」だよって そっと言ってくれた
僕的にはこの辺が歌詞のアピールポイントです(笑)。
物語にそってみれば、珠姫は自由がなくて精神的に非常にまいっており、そんな時に出会った主人公の存在は本当に嬉しいものだったでしょう。
そういえばリトルウィッチのスタッフ様と飲みに行った時に作詞の作法みたいなことを話し合った記憶があります。
その時は、設定した舞台装置から逸脱しないことが重要みたいなことを話したと思います。「朝起きて歯を磨いてごはんを食べて…」と時系列にそって言葉を連ねても歌詞としてはつまらないので、ある程度散逸的になるのは仕方がないことです。ですが「太陽がまぶしくて」と歌ってるのに続けて「月の光が」と歌い始めたら変ですよね。昼なのか夜なのかどっちなんだと。ですので太陽のつぎに月が登場する理由を歌詞の中でちゃんと説明しなくてはなりません。季節に関しても同様です。
「24時間いつでも恋人からの連絡を待っている」という設定なら、昼でも夜でも登場させられますが、そうすると今度は特定の時間帯だけを詳細に描くことに違和感が発生します。夜について重点的に語ってしまうと、読み手に「24時間といいつつ一番気にしてるのは夜なんだ。他の時間はそんなでもないんだね」などと思われてしまいます。
イメージするのは演劇の舞台装置で、事前に必要なセットを出しておきます。その中で自由な発想をもって物語と心情を紡ぐのです。セットをくるっと裏返せばまったく違う景色も生み出せるでしょう。ですが、それも事前に設定しておくべきものです。
上手い歌詞というのは、そういうバランス感覚が非常に優れています。
話が逸れました。曲名の「天球儀」というのは空の星を球体に模したものです。
幾千万の光をうつすあなたの瞳
それこそが世界の全て
「あなたの瞳」を見ているということは、「わたし」が「あなたの瞳」を覗き込むような体勢になっているということです。そして、あなたの瞳が星の光をうつしているということは、あなたの瞳が天球儀であり、世界の全てであると歌っています。あなたの瞳にうつる全てを愛して守る。そういう意味を込めています。
曲についてはもともと9分オーバーの長さで制作しており、体験版ではショートサイズ版でしたが、今回のWhite-Lips Vocal Collection 3でようやくフルサイズ版を発表することができました。