CD 4曲目「君の見る夢」はMEPHISTO様のPCゲーム「天使の羽根を踏まないでっ」のEDテーマとして制作されました。
曲としてはシンプルで、サビにオーケストラでの盛り上がりがありますが、メインの伴奏はピアノです。子守唄的な歌を想定していたので、このような曲になりました。
実はこの歌については語れるほどの面白いエピソードがなくて、普通にシナリオを読んで浮かんできたエピソードをそのまま形にした、という感じです。
歌の系譜としては「きっと、澄みわたる朝色よりも、」の挿入歌「藤の帳と夜の歌」を汲むものですが、歌詞は対照的で「藤の帳と夜の歌」は弱く、消えてしまいそうな自分が相手にすがるような内容に対して、「君の見る夢」は強く、存在感のある自分が今にも消えそうな相手を支えるといった内容になっています。女と母の違いといった感じでしょうか。
実際に作曲するときも「藤の帳と夜の歌」をアンチテーゼとして頭の片隅に置きながら制作していたように思います。
ちなみに「藤の帳と夜の歌」の曲名に「藤」とあるのは、日本的で見栄えが良いというのもありますが、花言葉が「優しさ」であるというのも採用の理由です。藤という優しさに包まれた空間で夜の歌を歌うんですよ。ちょっとエロいですよね。まあ歌詞の内容もエロいんですが。
そういう意味では「天使の羽根を踏まないでっ」のOP、EDともに、男女としての恋愛について一切語っていません。好きとか嫌いとかそういうレベルを飛び越えて、母親としての「愛」を語っています。エロに結びつくような要素が一切ないんですよ。その点において、樋口の作る歌の中でも非常に珍しい歌と言えるかもしれません。