楽しみは人の為ならず

街を歩いていて、デコレーションされたツリーを見かけるとクリスマスがやってきたという気分になるね。この時期は自宅にツリーやリースを飾ったりする人も多そうだ。まあ僕はやってないんだけど。

それでもケーキを買ったり、滅多に飲まないワインを飲んでみたりと、それなりにイベントを楽しんでいるよ。

こういうイベントの楽しみ方ってさ、簡単なようでいて実は結構難しいなって思っていたんだ。

どういうことかって?

簡単に言うとさ、楽しみを共有できる「誰か」が存在しないと楽しめないんじゃないかってことさ。恋人でも家族でも友人でも、なんでもいいんだけどさ、自分を楽しませてくれる「誰か」、または楽しませてあげたい「誰か」。そういう人がいないと、こういうイベントは楽しめないんじゃないかって思っていたんだよ。

料理でもさ、誰かがいればちゃんと作るけど自分一人だけだと作るのも面倒臭いなんてことあるだろう?

そもそも作らない?

君の場合は作れ…いやそれはさておき。

それって自分が行動する理由を他人に委ねているとも言えるよね。それが悪いことじゃないんだ。誰かのために何かをするという気持ちはとても素敵なものだしね。でも「誰か」がいなくなった瞬間に楽しむ方法がわからなくなるというのも、なんかもったいないと思わないかい?

「情けは人の為ならず」ってことわざがあるだろう?これって「情けをかけるなら他人のために押し付けがましくするんじゃなくて、自分自身のためにやりなさい」って意味だよね。端的に言うと「自分の行動理由を他人に委ねるな」とか「自分の行動の責任は自分でとれ」ってことだと思うんだ。

「あなたのためを思ってやってあげた」

「僕がこんなことをしたのは君を助けるため」

ドラマとかでありそうなセリフだけど、これを聞いて胸がキュンとする人はいないと思う。僕なんか胃がキュッとするよ…

まあ何が言いたいのかというと、楽しみも同じで「楽しみは人の為ならず」なんじゃないかなってことさ。自分自身がまず楽しんで、他の人にはそのおすそ分けができれば十分なんじゃないかという風に考えるようになったんだ。

おっと、ちょうどいい具合にそこに喫茶店があるからお茶でもしようか。歩き疲れただろう?

情けは人の為ならずとは言うもの、他人を気遣う心を忘れたらダメだしね。ついでにどんなケーキがあるのか楽しむことにしよう。

え?おすそわけ?

しょうがないな。ケーキを一口だけあげるよ。