人形使い2というのは1996年にFORESTから発売されたPC-9801用の対戦格闘ゲームです。対戦格闘ゲームといえば、当時アーケードやコンシューマーではメジャーな存在でしたが、パソコンで遊ぶというのは非常に珍しいものでした。この作品のサウンド関係を樋口が担当しています(一部はwatson(NAVA)氏が担当)。
あえて「音楽」ではなく「サウンド関係」と表現したのは、効果音、音源ドライバーの制作まで含めて、音に関することはすべて樋口が担当したからです。
このゲームで使用した音源ドライバーは「HHD」という名称で、名前の由来はシンプルに「Hideki Higuchi Driver」です(笑)。
改めて起動画面を見ると全角文字が混在してるのがすごく気になる…
自分で言うのもなんですがそれなりに高性能で、速度的にもメモリ的にも軽量です。YM2203およびYM2608両対応でCPUはi486まで対応。FM音源部のアクセス・ウェイトを自動算出する機能つき(効果は不明)。もちろんオール・アセンブラです。ただしPCMは使えません。
もともと趣味で作っていたプログラムで、いずれ仕事で使いたいと思っていましたが結局仕事で使ったのは、この「人形使い2」と「竜機伝承(KSS)」「パニックドールズ(すたじお実験室)」の3作品くらいだったと思います。他にもあったかもしれませんが思い出せません。
余談ですが拙作のMIDIドライバーも存在します。名前は「HMM」。由来は「Higuchi MIDI Manager」だったかな?本当は「HMD」にしたかったのですが、前述のFM音源ドライバーHHD用の音楽データファイルの拡張子がHMDだったので無理やり変えた気がします。
こちらも趣味で作ったわりには高性能ですが、仕事で使った回数はわずかです。残念…
さて、話を人形使い2に戻します。
この音楽を作っていた時は、まだキャラクターの名前などが決まっておらず、わりと適当な仮称がつけられていました。そのためデータに埋め込まれているタイトルも「おとうさん」「ロリ」「カンフー」とよくわからないものになっています。なので僕も正式な曲名というのがわかっていません(笑)。CDの曲リストはどうしましょうか…?
全15曲ですが、うち2曲はwatson(NAVA)氏による制作です。当時草の根ネット時代は「NAVA」というお名前で活躍されており、ふとしたきっかけで(※MusMusブログ参照)お会いした後に「やってみませんか?」とお話したところ、快く引き受けてくださいました。現在はwatson名義で活躍されています。昔はNAVAでしたが今はwatsonという意味でCDでのクレジット名が「watson(NAVA)」となっておりますのでご了承ください。
あ、そうそう。PC9801版は基本YM2203(FM×3、SSG×3)でちゃんと鳴るということを前提にしていますが、YM2608(FM×6、SSG×3、RHYTHM)で再生すると、より豪華に聴こえるように作っています。CDに収録しているのは後者のYM2608版の音です。
このゲームはその後WINDOWSにも移植されました。その際に音楽もWINDOWS用に作り直しています。当時はCDから直接音楽を再生させる方式が主流でしたので、シンセを鳴らして録音してエフェクターかけて…と普通にCDを作るような手順で作り直したわけです。
が、まあ樋口はそんな制作環境も整っていなかったですし、そもそも経験もろくになかったので非常に苦労したのを覚えています。それはまた別の記事で書きます。